仕事終わりに家へ帰ると、部屋の中がサウナのように暑くなっている日がある。
外出前にエアコンを消したものの、帰宅後は室温を一気に下げるため、エアコンがしばらく強く動き続ける。
そんなときに気になるのが、ネットでよく見かける「エアコンは消さずにつけっぱなしにした方が安い」という話だった。
本当にどれだけ長く外出しても、つけっぱなしの方が安いのか。
調べてみると、答えは単純ではなかった。外出する時間の長さだけでなく、日中か夜かによっても判断が変わる。
まず結論|外出時間ごとの目安
ダイキンが大阪市内の約14畳の部屋で行った実験では、冷房26℃・風量自動という条件で、つけっぱなしの方が安くなる外出時間の目安は次のように示されている。
| 外出する時間帯 | つけっぱなしが有利だった目安 |
|---|---|
| 日中(9〜18時) | 約35分まで |
| 夜間(18〜23時) | 約18分まで |
普段の生活に置き換えると、目安は次のようになる。
| 外出時間 | 判断の目安 |
|---|---|
| 日中の30分程度 | つけっぱなしを検討 |
| 夜の20分前後 | つけっぱなしでも大差が出にくい |
| 1時間以上 | 基本的には消す方向で考える |
| 仕事や外出で数時間不在 | 消す |
ただし、これは特定の建物・機種・気温で行われた実験結果であり、すべての住宅にそのまま当てはまる数字ではない。
西日が強い部屋、断熱性が低い賃貸、古いエアコンなどでは室温の上がり方が変わるため、35分や18分は絶対的な境界ではなく、判断材料の一つとして見るのがよさそうだ。
「つけっぱなしが安い」といわれる理由
エアコンは、設定温度を維持しているときよりも、運転を始めて室温を一気に下げるときに多くの電力を使う。
部屋が暑くなってから再び電源を入れると、設定温度との差を埋めるために強く運転する。そのため、短い時間に何度も電源を入れたり切ったりすると、起動直後の大きな消費電力が繰り返されることになる。
近所のコンビニやゴミ出し程度であれば、消して室温を上げてしまうより、そのまま弱い運転を続けた方が安くなる場合がある。
一方で、長時間不在にする場合は、つけっぱなしにしている間の消費電力が積み重なる。ダイキンの生活を想定した実験でも、外出時に停止した運転の方が、1日の合計消費電力量は小さくなった。
つまり、短時間ならつけっぱなし、長時間なら消すというのが基本になる。
日中と夜間で結論が変わる
今回調べていて特に興味深かったのが、日中と夜間では結果が違ったことだった。
日中は再起動時の負荷が大きい
日中は外気温が高く、日差しによって室温も上がりやすい。
エアコンを一度消して室温が上がると、帰宅後に設定温度まで戻すための負荷が大きくなる。そのため、ダイキンの実験では9〜18時の時間帯は、30分ごとに電源を切るよりも、つけっぱなしの方が消費電力量が少なくなった。
昼間に30分ほどスーパーへ行く程度なら、消さずに出かける方が安くなる可能性がある。
夜間は室温が上がりにくい
夜は外気温が下がるため、エアコンを止めても日中ほど急激に室温が上がらない。
再起動したときの負荷も比較的小さくなるため、18〜23時の比較では、こまめに停止した方が消費電力量は小さくなった。ダイキンが算出した境界の目安も、日中の35分に対して夜間は18分だった。
仕事終わりに1〜2時間ほど外食するなら、エアコンは消して出かける方が現実的だと思う。
エアコンをつけっぱなしにしやすい人
同じ30分の外出でも、住んでいる部屋や生活状況によって判断は変わる。
次のような場合は、短時間の外出ならつけっぱなしを検討しやすい。
在宅勤務で外出が短い人
一日中家にいて、昼休みにコンビニや近所のスーパーへ行くだけなら、毎回消すよりそのまま運転を続ける方が合いやすい。
西日が強く室温が上がりやすい部屋
日当たりが強い部屋や断熱性が低い建物は、エアコンを止めたあとの温度上昇が早い。
再起動時の負荷が大きくなりやすいため、短時間の外出ではつけっぱなしが有利になる可能性がある。
ペットが家にいる
電気代だけでなく、安全性や室温管理を優先する必要がある。
夏の室温は天候や部屋の条件で大きく変わるため、ペットが残る場合は、短時間か長時間かだけで電源を判断しない方がいい。
エアコンを消した方がいい人
次のような生活なら、つけっぱなしにするメリットは小さくなる。
日中は仕事で長時間家を空ける
朝に家を出て夕方や夜まで戻らないなら、つけっぱなしにするより消した方が電力を抑えやすい。
休日に数時間外出する
買い物や映画、食事などで1時間以上家を空ける場合も、基本的には消す方がよさそうだ。
夜に外食へ出かける
夜間は日中よりも室温が上がりにくく、再起動時の負荷も小さくなる。
短時間の外出でなければ、消して出かける方が節電につながりやすい。
サーキュレーターを併用すると本当に節電になる?
エアコンの電気代を抑えたいなら、つけっぱなしにするかどうかだけでなく、サーキュレーターとの併用も検討したい。
冷たい空気は床付近にたまりやすいため、エアコンだけでは部屋の上下や場所によって温度ムラが生じる。
サーキュレーターで空気を循環させると、冷気を部屋全体へ広げやすくなり、同じ設定温度でも涼しく感じやすくなる。パナソニックも、冷房時はサーキュレーターを上向きに送風して冷気のムラを減らす方法を案内している。
サーキュレーター自体が直接節電するわけではない
サーキュレーターを置くだけで、エアコンの消費電力が自動的に減るわけではない。
空気を循環させることで体感温度が下がり、その結果としてエアコンの設定温度を上げたり、強運転の時間を短くしたりできることが、節電につながる。
パナソニックは、冷房時にサーキュレーターを使って設定温度を1℃高くできた場合、一定の試算条件では約13%の消費電力削減につながるとしている。実際の金額は機種や部屋、電気料金によって変わる。
冷房時の置き方
冷房時は、床付近にたまる冷気を動かす必要がある。
基本的にはサーキュレーターをエアコンの近くに置き、エアコンと同じ方向へ風を送る。部屋の形や家具によって冷気が一部にたまる場合は、冷気がたまっている場所から部屋の中心へ向けて送る方法もある。
直接体へ強い風を当て続けるよりも、部屋の空気をかき混ぜる意識で使う方が、温度ムラを減らしやすい。

電気代だけでなく帰宅時の快適さも考える
エアコンを消して出かければ、必ずしもそれだけで正解というわけではない。
ダイキンの実験では、日中に30分間エアコンを止めた部屋は、つけっぱなしの部屋より帰宅時の温度と湿度が高くなっていた。
消した方がわずかに安くても、帰宅してから長時間暑い部屋で過ごすことになれば、快適さは下がる。
特に真夏の猛暑日や、ペットや家族が部屋に残る場合は、数円の差だけで判断しない方がいいと思う。
まとめ

「エアコンはつけっぱなしの方が安い」という話は、短時間の外出であれば正しい場合がある。
ただし、どんな外出でもつけっぱなしが得になるわけではない。
ダイキンの実験条件では、
- 日中は約35分まで
- 夜間は約18分まで
が、つけっぱなしの方が安くなる目安だった。
実生活では、次のように考えると分かりやすい。
- 近所への短い外出ならつけっぱなし
- 1時間以上の外出なら基本的に消す
- 数時間家を空けるなら消す
- 西日や断熱性、ペットの有無も考慮する
さらにサーキュレーターを併用し、部屋の温度ムラを減らせれば、設定温度を必要以上に下げずに済み、節電にもつなげやすい。
つけっぱなしか、こまめに消すかを一律に決めるのではなく、外出時間・時間帯・部屋の環境をセットで考えるのが、現実的な使い方だと思う。
出典
- ダイキン工業「夏のエアコンつけっぱなし検証」
- パナソニック「風量や湿度など、エアコンの節電方法を解説」
